「マイナポイント」を日本国政府が商標登録する理由

☆マイナンバーカードを利用したポイント還元事業「マイナポイント」が、2020年9月から始まります。

「マイナポイント」は、マイナンバーカードとキャッシュレス決済の普及を目的とした施策であり、マイナンバーカードを所持している人が、参加するキャッシュレス決済サービスを1つ選んで登録すると、登録したキャッシュレス決済サービスのチャージあるいは利用額の25%(上限5000円、且つ2020年9月~2021年3月の期間のもの)のポイント還元が得られる制度です。

☆マイナンバーカードへのキャッシュレス決済サービスの登録予約は、2020年7月に開始されましたが、これに先立ち、2019 (令和1)年 8月 20日に「マイナポイント」に関する標準文字商標が、総務大臣名義で出願され2019年11月29日に商標登録されています(登録番号;第6201098号)。

☆この商標登録における指定役務は、第35類の「トレーディングスタンプの発行,顧客ロイヤリティプログラムの管理,マイレージプログラムの管理,販売促進のための企画及び実行の代理,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータによるファイルの管理,コンピュータデータベースへの情報編集,コンピュータデータベースへの情報構築,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作」です。


 ☆「マイナポイント」は、マイナンバーカードとキャッシュレス決済の普及を目的とする施策です。

このような公の制度の名称を総務大臣名義で商標登録して国が「独占」する必要があるのでしょうか? というのが今回のテーマです。

☆「マイナポイント」は国民にポイント還元する公の事業ですが、それゆえ「マイナポイント」制度の存在を知った多くの国民は、この制度は、国が国民のために行っている信頼できる事業であると認識します。それゆえにこそ、この信頼感認知度の高さを悪用しようとする者が現れます。

「マイナポイント」に乗じたさまざまな詐欺が発生するおそれがあります。

☆それゆえ総務省は、そのウェブサイトで「マイナポイントに乗じた詐欺にご注意ください!」という注意喚起を行っています。更に「総務省や市区町村の職員、その関係者等が以下を行うことは絶対にありません!」として、

・「マイナンバー金融機関の口座番号、口座の暗証番号、資産の情報、家族構成などの個人情報などを伺うこと」、

・「通帳やキャッシュカードを預かったり、確認すること」、

・「金銭を要求したり、手数料の振込みを求めること」

などの詐欺の具体を記載しています。

          (https://mynumbercard.point.soumu.go.jp/alert/index.html)。

 ☆この具体例のごとき、他人の口座番号を聞き出したり、通帳を預かったりするには、まず相手にマイナポイント制度の内容を説明し(詐欺を行い易くする説明)、相手にマイナポイント制度を知ってもらう必要があります。

なぜなら、マイナポイント制度は国が国民のために行っている信頼できる事業であると理解するからこそ、それを説明してくれる者をも信頼するからです。

相手がマイナポイント制度を知らないままでは、マイナポイント制度に対する信頼感やお得感が惹起されないので、他人に大切な口座番号を教えたり、通帳を預けたりすることは決してしないでしょう。

皆が使うマイナンバーカード
皆が使うマイナンバーカード

☆ということで、マイナポイントに乗じた詐欺を行うためには、不可避的にマイナポイントという文字や、マイナポイントという称呼を使うことになります。この点が重要です。

☆ここでマイナポイントに乗じた詐欺行為に対しては、どのような対処法があるのかを考えて見ます。

これを考えると、総務省が商標登録第6201098号を取得している意味がわかってきます。

 ☆「詐欺」にあったときの対処としては、詐欺被害を警察へ告発・告訴することがあります。

しかし、詐欺なのかそうでないのかの認定は難しく、詐欺罪(刑法第246条)は刑法に定められた犯罪のなかでも特に成立の要件が難しいといわれています。

それゆえ、詐欺被害者にとっては、告発・告訴を受理してもらうことが大変になります。

☆これに対して、商標登録に基づく権利は、上記した指定役務について登録商標(マイナポイント)の使用する権利を占有することであり(商標法第25条)、何人も商標権者から許可または黙示的な許可を得ていない限り、原則としてマイナポイントの商標的な使用はできません。

それゆえ簡単に言ってしまえば、商標権者の許可(許諾)なくマイナポイントの商標的な使用がなされていれば、不正使用であるといえるので、詐欺罪に比較し判断が容易です。

☆上記したように、マイナポイントの信頼感やメリット感に乗じて詐欺を行おうとする場合には、不可避的にマイナポイントという文字や称呼を使うことになります。

この行為は、大抵の場合、登録商標の使用に該当します。マイナポイントの商標権者は総務大臣ですので、総務大臣から許可または黙示的な許可を得ていない者の使用は、不正使用といえます。

☆つまり、総務大臣は、上記した指定役務についてマイナポイントの使用をする権利の占有者ですので、総務大臣の使用許可を得ていないマイナポイントの使用者(詐欺者)は、商標権の侵害者となります。商標権の侵害者に対しては、差止請求権や損害賠償請求権を行使でき(商標法第36条等)、侵害罪(10年以下の懲役等/商標法第78条)を追求することができます。

☆そして商標法では、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除去その他の侵害の予防に必要な行為をも請求することができ、商標権が実際に侵害された場合だけでなく、侵害するおそれがある場合にも、その者に侵害の停止や予防を請求することができます。

更に侵害の予備的行為に対してもその停止等の請求ができるとともに、これに対しても刑事罰を追求することができます(商標法第37条)。

森

 

☆このような内容を持った商標権は、商標登録により発生する権利なので、登録という形で権利の主体(総務大臣)、客体(マイナポイント・指定役務の範囲)が明確になっています。それゆえ、侵害に対して速やかに対処することができます。

これが、総務大臣がマイナポイントを商標登録している理由の一つといえます。

☆もう一つの理由は、総務大臣以外の者が先に商標登録してしまうと、その者にマイナポイントの使用について制約を受けることになり、マイナポイント制度の運営が円滑になし得なくなる恐れが生じるからでしょう。

マイナポイントの所轄官庁である総務省(総務大臣)が「マイナポイント」を先に商標登録出願し、商標登録しておけばこのような恐れを防ぐことができます。

☆また、総務大臣(国)がマイナポイントに関する商標権を所有していても、総務大臣から許諾を得た事業者等は、合法的にマイナポイントを使用できるので、特段の不都合は生じません。

また、他者に不利益を与えないマイナポイントの使用に対しては、総務大臣が商標権の排他権を行使しなければよいので、総務大臣がマイナポイントの独占排他権を所有していても特段の不都合は生じないと思われます。

☆ところで、マイナポイントの信頼性国家を背景にした信頼性ですよって、信用獲得に特段の努力は必要ありません。

しかし一民間企業が自社サービス・自社製品に信頼感や良いイメージを醸成するには、長年にわたる企業努力が必要となります。

国家の信用はそう簡単には失われませんが、一企業の信用は簡単に失われます。多大な努力を払い、作り上げたサービスや製品への信用や良好なイメージは、それが化体した商標が他人に不正に使用されることによっても容易に失われてしまいます。

一旦失われた信用を回復することは極めて困難です。

それゆえにかけがえのない製品イメージは、それが化体した商標を商標登録して、他人の不適正な使用から守る必要があります。商標登録しておくことによってのみ、他人の不正な商標使用を迅速に排除することができます。

これが商標登録する価値です。IPF商標意匠相談室は、商標登録とブランド戦略とを全力で支援しています。

 

商標意匠相談室

 

☆マイナンバーカードを利用したポイント還元事業「マイナポイント」が、2020年9月から始まります。

「マイナポイント」は、マイナンバーカードとキャッシュレス決済の普及を目的とした施策であり、マイナンバーカードを所持している人が、参加するキャッシュレス決済サービスを1つ選んで登録すると、登録したキャッシュレス決済サービスのチャージあるいは利用額の25%(上限5000円、且つ2020年9月~2021年3月の期間のもの)のポイント還元が得られる制度です。

☆マイナンバーカードへのキャッシュレス決済サービスの登録予約は、2020年7月に開始されましたが、これに先立ち、2019 (令和1)年 8月 20日に「マイナポイント」に関する標準文字商標が、総務大臣名義で出願され2019年11月29日に商標登録されています(登録番号;第6201098号)。

☆この商標登録における指定役務は、第35類の「トレーディングスタンプの発行,顧客ロイヤリティプログラムの管理,マイレージプログラムの管理,販売促進のための企画及び実行の代理,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータによるファイルの管理,コンピュータデータベースへの情報編集,コンピュータデータベースへの情報構築,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作」です。


 ☆「マイナポイント」は、マイナンバーカードとキャッシュレス決済の普及を目的とする施策です。

このような公の制度の名称を総務大臣名義で商標登録して国が「独占」する必要があるのでしょうか? というのが今回のテーマです。

☆「マイナポイント」は国民にポイント還元する公の事業ですが、それゆえ「マイナポイント」制度の存在を知った多くの国民は、この制度は、国が国民のために行っている信頼できる事業であると認識します。それゆえにこそ、この信頼感認知度の高さを悪用しようとする者が現れます。

「マイナポイント」に乗じたさまざまな詐欺が発生するおそれがあります。

☆それゆえ総務省は、そのウェブサイトで「マイナポイントに乗じた詐欺にご注意ください!」という注意喚起を行っています。更に「総務省や市区町村の職員、その関係者等が以下を行うことは絶対にありません!」として、

・「マイナンバー金融機関の口座番号、口座の暗証番号、資産の情報、家族構成などの個人情報などを伺うこと」、

・「通帳やキャッシュカードを預かったり、確認すること」、

・「金銭を要求したり、手数料の振込みを求めること」

などの詐欺の具体を記載しています。

          (https://mynumbercard.point.soumu.go.jp/alert/index.html)。

 ☆この具体例のごとき、他人の口座番号を聞き出したり、通帳を預かったりするには、まず相手にマイナポイント制度の内容を説明し(詐欺を行い易くする説明)、相手にマイナポイント制度を知ってもらう必要があります。

なぜなら、マイナポイント制度は国が国民のために行っている信頼できる事業であると理解するからこそ、それを説明してくれる者をも信頼するからです。

相手がマイナポイント制度を知らないままでは、マイナポイント制度に対する信頼感やお得感が惹起されないので、他人に大切な口座番号を教えたり、通帳を預けたりすることは決してしないでしょう。

皆が使うマイナンバーカード
皆が使うマイナンバーカード

☆ということで、マイナポイントに乗じた詐欺を行うためには、不可避的にマイナポイントという文字や、マイナポイントという称呼を使うことになります。この点が重要です。

☆ここでマイナポイントに乗じた詐欺行為に対しては、どのような対処法があるのかを考えて見ます。

これを考えると、総務省が商標登録第6201098号を取得している意味がわかってきます。

 ☆「詐欺」にあったときの対処としては、詐欺被害を警察へ告発・告訴することがあります。

しかし、詐欺なのかそうでないのかの認定は難しく、詐欺罪(刑法第246条)は刑法に定められた犯罪のなかでも特に成立の要件が難しいといわれています。

それゆえ、詐欺被害者にとっては、告発・告訴を受理してもらうことが大変になります。

☆これに対して、商標登録に基づく権利は、上記した指定役務について登録商標(マイナポイント)の使用する権利を占有することであり(商標法第25条)、何人も商標権者から許可または黙示的な許可を得ていない限り、原則としてマイナポイントの商標的な使用はできません。

それゆえ簡単に言ってしまえば、商標権者の許可(許諾)なくマイナポイントの商標的な使用がなされていれば、不正使用であるといえるので、詐欺罪に比較し判断が容易です。

☆上記したように、マイナポイントの信頼感やメリット感に乗じて詐欺を行おうとする場合には、不可避的にマイナポイントという文字や称呼を使うことになります。

この行為は、大抵の場合、登録商標の使用に該当します。マイナポイントの商標権者は総務大臣ですので、総務大臣から許可または黙示的な許可を得ていない者の使用は、不正使用といえます。

☆つまり、総務大臣は、上記した指定役務についてマイナポイントの使用をする権利の占有者ですので、総務大臣の使用許可を得ていないマイナポイントの使用者(詐欺者)は、商標権の侵害者となります。商標権の侵害者に対しては、差止請求権や損害賠償請求権を行使でき(商標法第36条等)、侵害罪(10年以下の懲役等/商標法第78条)を追求することができます。

☆そして商標法では、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除去その他の侵害の予防に必要な行為をも請求することができ、商標権が実際に侵害された場合だけでなく、侵害するおそれがある場合にも、その者に侵害の停止や予防を請求することができます。

更に侵害の予備的行為に対してもその停止等の請求ができるとともに、これに対しても刑事罰を追求することができます(商標法第37条)。

森

 

☆このような内容を持った商標権は、商標登録により発生する権利なので、登録という形で権利の主体(総務大臣)、客体(マイナポイント・指定役務の範囲)が明確になっています。それゆえ、侵害に対して速やかに対処することができます。

これが、総務大臣がマイナポイントを商標登録している理由の一つといえます。

☆もう一つの理由は、総務大臣以外の者が先に商標登録してしまうと、その者にマイナポイントの使用について制約を受けることになり、マイナポイント制度の運営が円滑になし得なくなる恐れが生じるからでしょう。

マイナポイントの所轄官庁である総務省(総務大臣)が「マイナポイント」を先に商標登録出願し、商標登録しておけばこのような恐れを防ぐことができます。

☆また、総務大臣(国)がマイナポイントに関する商標権を所有していても、総務大臣から許諾を得た事業者等は、合法的にマイナポイントを使用できるので、特段の不都合は生じません。

また、他者に不利益を与えないマイナポイントの使用に対しては、総務大臣が商標権の排他権を行使しなければよいので、総務大臣がマイナポイントの独占排他権を所有していても特段の不都合は生じないと思われます。

☆ところで、マイナポイントの信頼性国家を背景にした信頼性ですよって、信用獲得に特段の努力は必要ありません。

しかし一民間企業が自社サービス・自社製品に信頼感や良いイメージを醸成するには、長年にわたる企業努力が必要となります。

国家の信用はそう簡単には失われませんが、一企業の信用は簡単に失われます。多大な努力を払い、作り上げたサービスや製品への信用や良好なイメージは、それが化体した商標が他人に不正に使用されることによっても容易に失われてしまいます。

一旦失われた信用を回復することは極めて困難です。

それゆえにかけがえのない製品イメージは、それが化体した商標を商標登録して、他人の不適正な使用から守る必要があります。商標登録しておくことによってのみ、他人の不正な商標使用を迅速に排除することができます。

これが商標登録する価値です。IPF商標意匠相談室は、商標登録とブランド戦略とを全力で支援しています。

 

商標意匠相談室