ファンに長年愛され続ける色彩的特徴を持った商品を商標登録しましょう
2020年6月16日に、左画像に示すような青色と白色と黒色に塗り分けられた四角形の図形商標が、「被服・ガーター・・・バンド・・履物・・」などを指定商品として登録になっています(登録第6260360号)。権利者は株式会社トンボ鉛筆です。
この商標は、同社の消しゴム「MONO」(右画像、出典https://www.tombow.com/)の商標と同じカラーリングの形状ですが、指定商品は消しゴムとは全く関係のない「被服」などです。
株式会社トンボ鉛筆は、この商標登録に先立って、この商標と同じ色彩を用いた「色彩のみからなる商標」を、指定商品「消しゴム」について商標登録しています(登録第5930334号)。
「色彩のみからなる商標」は、非常に登録が難しく、著名となっていない限り登録されることはありません。
2015年に「色彩のみからなる商標」の保護が開始されて以降、今日(2020年6月25日現在)までに8件しか登録になっていないことからそのことがわかります。
よって、株式会社トンボ鉛筆の上記「色彩のみからなる商標」は、著名性が認められたことを意味しており、このことからして、株式会社トンボ鉛筆の消しゴムは著名です。
しかし、被服は著名ではないので、「被服・ガーター・・・バンド・・履物・・」については、図形商標として出願したのでしょうか。
そうとすると、「被服」などを指定商品とする図形商標(登録第6260360号)は、消しゴムの著名性を横展開しようとする戦略でしょうか。
ところで、同じ色彩でも形状が四角形に特定されている図形商標は、形状を特定していない「色彩のみからなる商標」ほどの権利の広がりはありません。
上記被服などの場合、塗り分けられた四角形の図形商標(登録第6260360号)は、首の後ろのタグ部分やポロシャツの胸のワンポイントなど、通常商標が付けられる部分に使用した場合にのみ、商標的使用となり、他人がこれを行うと権利侵害となるでしょう。
しかし、三色のカラーリングのTシャツについては、権利侵害とはなりません。
それゆえ、三色のカラーリングのTシャツをなんとかしたい場合は、「色彩のみからなる商標」を登録しておく必要があるでしょう。
つまり、「色彩のみからなる商標」は、同一の色彩を持った図形商標に比較して幅広の権利であると言えます。
しかし、「色彩のみからなる商標」の登録を得るには、その商品がファンに愛され続け、その商品が何人かの商品かがわかるほどに著名になっている必要があり、大変です。
商売をされている多くの人は、ファンに愛される商品をつくりたいと思っておられます。「色彩のみからなる商標」の登録は、その努力を促すインセンティブになります。
皆様も是非にファンに長年愛され続ける色彩的特徴を持った商品づくりに努め、その努力をより確かなものとするために「色彩のみからなる商標」の登録を勝ち得てください。